2010年09月17日 03:49
私事ですが、家族が節目を迎えます。
明日、祖父が100歳のお祝いを京都府・京都市からしていただくそうです。
明治43年生まれの頑固な祖父で、僕の行儀が悪いとよく箸箱でたたかれたことを思い出します。
家族全員で食事をしていました。夜になると食事の後、みんなで日本昔話を見ました。
8mm映写を撮るのが好きで多くの映像を撮っては、家族で上映会をしました。
漆芸家二代表悦として祖父が京都府から文化功労賞をいただいた時のことをおぼろげに覚えています。
しっかりものの祖母と共に二人で静かに笑っている写真です。
僕が文化奨励賞をいただいた時、自分が父の背中を追うと同時に祖父の背中も追っていることに気がつきました。
祖父は明治・大正・昭和・平成を生きてきました。
若い頃は身体を壊したり、身内に先立たれたり、苦労の多かった人生だったようです。
日々の暮らしにも困窮し、身内の葬儀の時に、その費用にも難儀し、ひどく心を痛めたこともあったそうです。
自らの力なさを嘆き涙を流しながらも、喰いしばって物造りの道をあゆんできた祖父。
そんの祖父の見た100年はいったいどんな物だったのでしょう。
100年前の空はどんな色だったのでしょうか?
100年の間に地球はどれほど変わってしまったのでしょうか?
これを機会に僕は考えてみたいと思います。
父母が子供の頃、仰ぎ見た空はどんな空だったでしょう?
祖父祖母が見渡した海はどんな海だったのでしょう。
僕と妻に授かった娘が見ているこの世界はどんな色なのでしょう。
僕は考えてみたいと思います。
娘と共に未来をつむぐ新たな命が生まれたとき、その子が見る地球が輝きを失わないように。
漆工芸家 三木啓樂